なんでこれを買ってしまったのか・・・目がちかちかしてきた・・・。
古書には、往々にして前の持ち主の痕跡が残っているものだけど、
この本は、かなり力強く本を読む人のものだったようで、
ほぼ全ページ、全行が、蛍光カラーペンで塗り潰されているのです。
目が痛い。
電車のなかで開くのが恥ずかしい。
蛍光色に気をとられてペースが落ちる。
ページをめくるにつれて、黄色やオレンジのインクより、
もっと強い色で力強く塗りたくなって、ピンクを手に取った気持ちが
伝わってくる。
そして、力強い蛍光ピンクであまりにもすべてを塗りつぶしすぎて、
どこが重要かさっぱりわからなくなってきたので、
反対色のグリーンを手に取り、さらに重要な部分を目立つよう上塗りした
心理も伝わってくる。
しかもなぜか、私が「これぞ重要」と思う部分は、塗られてなかったりして、
勝手にヤキモキしてしまう。
こんなに重要な部分がいっぱい詰まった本なのに、あっさりと古書店に
売っちゃった感じに、人間っぽさも感じる。
熱しやすく冷めやすい人なのかしら。過ぎたことは忘れるタイプ?
痕跡本に触れると、人それぞれいろんな読書があって面白いなあと思う。
以前、神保町でたまたま買った小説には、最後のページに、感想がわりに、
自作の和歌が書き込まれていた。
「退屈すぎて電車のなかで手から滑り落ちた本だった」
みたいな辛辣な内容だったけど、5.7.5.7.7でまとめるなんてお洒落な人だ。
私の祖父の遺品の本は、いつどこで入手したものかが表紙裏に万年筆で
きちっと書き込んであって、その丁寧さになつかしさを覚える。
本を読む時も、きちっと座って読んでいたんだろうなと思い浮かべる。
父親の読んでいた本は、わずかに線を引いたり、簡潔なメモを書き留めた
部分はあるが、その量が極めて少ない。
わたしは、著者の言い分に違和感や疑問を持つと、その行の端に
「それおかしいやろ?」「えー? あんただけが感じてることちゃう?」
などと書き込んでしまう癖があるので、古書として出すのは悪いし、
人にも貸せない…。小説は静かに読むけどね。
でもこの蛍光ペンで塗りつぶされている本、勉強になりました。
「グローバリズムが世界を滅ぼす」という対談本です。
2年ぐらい前のものですが、新自由主義、グローバリズム、EUの過ち
などが語られています。